すでに長期・中期・短期間の駐在を複数か国で経験したカンダです。
今回は海外駐在の破壊力:アーリーリタイアへの近道について実例を交えて記事にしていきます。
ただ若年層での海外駐在は種銭を稼ぐにはうってつけですが、それだけではだめです。
そこで得た資金をもって長期間の投資を実施することが肝要です。
[↓以前に「若くして海外駐在のチャンスと可能性があるかどうかの重要性」について記事にしていますので併せて一読ください]
2年間の海外駐在の破壊力は日本の6~8年分に相当する
ざっと計算してみるとこれぐらいのインパクトが事実あります。
もちろん駐在先、契約条件、生活水準、一回の期間にもよりますが、実例を用いて今回は細かく掘り下げていきます。
海外駐在の破壊力:各種手当による収入の増加
これは広く知られていると思いますが、海外駐在のメリットとしてよく挙げられる代表的な手当です。
会社の制度・駐在先によっても違いはありますが、ざっと記載すると以下の通りです。
◇住居の用意・住宅手当
海外駐在時の住まいは会社によって違いがでますが、多くの駐在員がまとまって駐在する場合ははじめから会社負担で用意されたり、治安上問題ない住宅が借りれるレベルの手当てがあてがわれます。
つまり日本での住居費が丸々なくせることも可能になるのです。独身で自費で暮らしているのであれば年間約100万円の出費を回避できるのです。
Point)独身の場合はじめから中長期的に駐在する場合は日本の住宅を会社の業務都合で引き払うため、会社によってはトランクルームの用意や引っ越し代まで請求できる可能性があります。
1年間を確実に超える場合は絶対引き払っていくべきです。不必要な出費が避けられます。
追記)昨年からのコロナ禍もあり、在宅勤務が促進されました。駐在後の働き方に変化が出る可能性もあるので、より引き払って戻ってきてから最もいい場所を探すのが得策です。
◇日当・危険地・僻地手当
これも会社によって、駐在先によって大きく変わりますが、原則日本以外で働く場合“日当”が支払われます。同時に、その駐在先が生活上不自由な国となると“僻地手当”や“危険地手当”といったものが加算され、より不自由・より危険な地域になるほど高額になります。
ただしその分生活は厳しいものになるので、一概に収入があがることを喜べもしないという側面はあります。
Point)この日当・危険地・僻地手当の合算が所謂“海外駐在の手当”とされるもの。会社によって大きく待遇が異なるようです。つまり一概に海外駐在がある会社だからといって莫大な手当がもらえるわけではないことに注意が必要です。
◇その他手当(生活補助費、食事補助費など)
これは建設系ならではかもしれませんが、建設場所が本当に何もないような僻地である場合、従業員専用の居住地・食堂が設置されることがあります。一方で、僻地ではなく、現地の住宅から建設地へ通う場合はその分の生活補助費・食事補助費が支払われるのです。
企業によっては上記の海外手当に含まれる場合もありますし、このように別だしで加算されることもあります。
Point)これは好みが分かれますが、手残りとしては補助があったほうがいいです。一方で食堂があったほうが生活は圧倒的に楽です。カンダは食堂があったほうが好みです。
海外駐在の破壊力:残業代の上限越えによる収入の増加
意外と知られていないかもしれませんが、日本で適用されている“36協定”は海外駐在になったタイミングで適用外になります。
つまりは常に会社や組合が設定する上限の残業代が申請できるようになるのです。
会社によって例えば80時間、100時間。120時間等といったように設定されるため働けば働くほど給料が増える状態が続きます。
もちろんそれだけの業務をこなす必要があるため、肉体的にも精神的きつい状況ではありますが、それでも受け取れる残業代は莫大です。
Point)建設系・プラントエンジニアリングの場合、建設のピーク時には相当な業務量となるだけでなく、場所によってはそもそも長期間滞在が許されない場所による建設となると残業時間は青天井になることもあります。
海外駐在の破壊力:大幅な支出(生活費全般・税金)の減少
海外駐在というと“手当てがすごい!”というのが一般的な理解ですが、上記の通り残業代の上限が変更されることによる収入の増加が加わるだけではありません。
実際に影響が大きいのはこの“大幅な支出(生活費全般・税金)の減少”があります。
以下のように実例を挙げていきます。
①生活費全般の減少:一般生活費の減少
上記手当の欄でも記載した通り、住居は基本的にあてがわれます。
すでに結婚して日本に住居を持っている・そしてそれを維持する場合はメリットにはなり得ませんが、独身で会社の寮や社宅に安く住んでいる場合は光熱費や通信費はかからなくなります。
また自費で賃貸住宅を借りている場合は、引き払ってしまえばこの支出を大幅に削減することが可能になります。
この効果は絶大で、単純計算でも2年間で約200万円前後の支出を抑えることが可能となるからです。
②生活費全般の減少:被服費・交際費・交通費の減少
これも馬鹿にならない支出ですが、日本にいるとどうしても被服費・交際費がかさみます。
一方で海外駐在、特に建設系の場合は、被服費はまずかかりません。中には色々とこだわって購入する人もいますが、気にしている人はほとんどいません。
かくいうカンダも2年間の駐在期間において着用したワイシャツはたったの4つ、チノパンを3つ、あとはカーディガンを1つ、ジャケットを1つ、ライトダウンを1つというだけです。
靴もスニーカー一足、会社用に一足、運動・ジムで使うものを一足といったところ。
どれもすでに日本で来ていたものを持っていき、そこで着潰して帰国する際にすべて廃棄してきました。
インナー・靴下は現地で日本よりもむしろ安く大量に売っているため、はじめに持っていったものは休日用にし、それ以外は現地調達して最後は廃棄して終了です。
というのも建設系の場合は大概ユニフォームを数着渡されるため、それを羽織ってしまえば問題ないからです。
交際費も同様です。
日本にいる限りは、突発的な飲み会や気の進まないイベント・結婚式・それにかかる移動代などなど、意識せずともお金が出ていく状態になりますが、駐在するとこういった交際自体がほぼ0になります。
もちろん現地でも食事会や飲み会はありますが、日本のように何時になっても家に帰れる国などほとんどなく、あっさり終わることが多いです。
また、場合によっては料理上手な人のうちではじめから大学生のような鍋パーティー・宅飲みで終わることもあります。
当然ですが広く・頻繁に出掛ける必要もないですから、交通費も激減します。
③税金の減少:所得税・住民税の自己負担0
これが非常に大きな支出の減少を担っています。
日本の会社から現地の会社に1年以上の期間確実に出向する場合、日本において非居住者扱いになり、日本における住民税は0になります。
また現地の所得税分は会社負担、現地での住民税等は会社負担となることが多いため、所謂額面から大きく引かれるものは厚生年金・雇用保険くらい。
これがさらに発揮されるのは帰国後に日本の居住者となっても、その帰国した年から翌年の6月まで住民税はかからないのです。
例を挙げると、2020年の4月に非居住者として海外に駐在し、2021年8月に帰国した場合、2021年9月からたとえ日本に居住したとしても住民税は2021年の期間中+2022年の5月まではかからないことになるのです。
これは非常に大きなメリットで、会社都合での海外駐在で発生する蓄財ボーナスと言えます。
海外駐在の破壊力:この効果を最大に発揮するのは駐在が満1年を超えてから
これが非常に重要なので敢えて強調しておきます。
この海外駐在の破壊力が最大になるのは駐在を開始してから少なくとも半年以上・特に大きく効果を感じるのは1年が経過してからです。
そのためもし海外駐在のチャンスがあるのであればこの部分を意識して欲しいところです。
なぜかというと、上記のように現地の生活に対して会社が色々なものを負担してくれたり、用意してくれるとはいえ、それでもはじめの最低でも3ヶ月から半年は現地の生活を快適にするために最低限もの(家具・家電、調理器具など)を揃えたり、現地の店を開拓してみたり、休暇があれば出かけてみたりするものです。
それが一年を超えてくると生活は最適化され、出かけるところも固定され、無駄がどんどんなくなっていくのです。
また駐在期間中に発生する日本への帰国休暇もはじめは駐在で得た収入をもとに旅行をしたり物を買ったりしますが、これが1年を超えるとおおよそ自分がやりたいことも欲しいものも満足レベルまでできるため、帰国休暇での無駄遣いもなくなっていきます。
収入面から言えば単純に年功序列的に給料が上がるのであれば、駐在期間中に給料のベースは上がり、かつ、残業代のベースも上がることになるのです。
つまりは1年間を超える駐在であり、かつ、1年を超えた期間が長いほど手残りがどんどん雪だるま式に増えていくのです。
これらをまとめるとはじめの“2年間の海外駐在の破壊力は日本の6~8年分に相当する”ということになるのです。
計算式としては以下の通りになりますが、(1)基本給は変わらなくとも、(2)残業代は増加、(3)手当は単純追加、(4)支出は大幅に減少されるため、手残りは激増することになるのです。
“手残り=基本給(1)+残業代(2)+手当(3)-支出(4)”
より具体的に言えば、待遇がいい場所に駐在した場合、“基本給額=残業代=手当の合計”、くらいの収入つまりは日本の基本給の三倍の収入になります。
支出は上記の通り激減しているため、月の手残りは日本にくらべて単純に3~4倍以上になるということです。よって2年間の駐在となれば日本の生活の6~8年に相当するという計算になるのです。
そしてアーリーリタイア・サイドFIRE、小金持ちへの近道
上記の通り、海外駐在では一気に手残りは増大します。
ただこれを途中帰国休暇で散財したり、帰国後に好きに使ってしまっては非常にもったいないのです。
なぜなら周知の通り、いまの1000万円は10年後の1000万円よりも時間的価値をもっており、予め口座開設をしておき投資へ回せば一気に資産の拡大・CFの増強を実現可能となるためです。
よって若くして海外駐在が出来さえすれば、日本企業にいながらもアーリーリタイア・小金持ちへの近道が開けてくるのです。
まとめ
・海外駐在は手当による収入増加だけでなく、残業代の上限アップによる収入増加も発生する
・海外駐在では税金と生活費全般の支出が激減する
・海外駐在の効果を最大に発揮されるのは1年を超えてから
・これで得られた資金をすべて投資へ回すことができれば一気にアーリーリタイア・小金持ちへの道が開ける
余談
【短期駐在も繰り返せばバカにならない】
私の実体験ですが、数か月程度の短期駐在も数を重ねればバカにできません。
この場合、現地の生活を多少我慢さえすれば何かを現地で用意する必要もなく、途中途中の帰国休暇もないため、日本から持っていったものだけで生活し、得た収入はすべてが手残りになるのです。
税金等の支出の減少は発生しませんが、日本の生活を整理する必要もないので手間はかかりません。
上記の通り海外駐在の効果が一番発揮されるのは1年を超えてからなので、実は一番やっかいなのは数年に一度のペースで、たった1年前後の駐在だったりします。
この場合、そこまで税金の減少を感じることもなく、現地の最適化も必要となるためです。
【それでも海外駐在頼りの生活をしてはいけない】
こういった海外駐在の収入に慣れてしまうと日本に戻ってから生活レベルが上がってしまい、かえってTotalでみるとマイナスになるような人もいるので注意が必要です。
さらには今後も駐在があるだろう・行けるだろうと高を括って高額の住宅ローンを組んだところ、潮目が変わって機会がなく、困窮するという人も少なからずいます。
【コロナの影響が駐在にどれだけ影響していくるか】
駐在を希望する人たちには残念ですが、これから海外駐在という働き方は格段に減ると感じています。
もちろん一気になくなる、ということはないですが、徐々に減っていくのは間違いありません。
結局いままで海外駐在を多く出していた理由は現地の状況をタイムリーに把握し、問題があれば解決・改善する、現地の人と密にコミュニケーションを取る、現地の人よりも高度な技能・技術を要する、といった理由がありましたが、今となってはほとんど日本にいながらこれが可能になっています。
Web会議を毎日のように開くことも可能ですし、複数のカメラ・スマホをリンクさせて、現地の状況を確度高く把握し、コミュニケーションを取ることが可能になっています。
そのため、今まで4人も、5人も必要だったところが1人か2人いけばいい、なんだったら立ち上げだけ集中して駐在し、軌道になったら任せて引き上げ、仕舞いに最後舞い戻るといったこともあるでしょう。
ただ、今はまだ完全にそういった方向に舵を切りつつある段階なので、しばらくは以前よりも少ない人数にはなっても機会がなくなるということはないでしょう。
参考になれば幸いです。皆様が小金持ちになることを祈って。
カンダ
【投資はあくまで自己責任で】