前記事に引き続き、今度は学生の志望動機や学生時代取り組んだことのエピソードに関して、どこを評価するかの具体的なポイントについて記載していきます。カンダも当時は就活指南書みたいなものを片手に色々試行錯誤して進めていました。
[↓Part-1を未読の方はご一読ください。]
計画力・行動力・修正力・完結力 (PDCA)
内容の濃さ・薄さについても記載していきます。ここらへんは所謂PDCAサイクルというものが重要です。いまどきはアルバイトの研修でもあるというのを聞いたこともありますが、要は何か物事に取り組むにあたって計画できるか、計画にそって行動できるか、問題があれば修正・改善できるか、そして完結できる(完了できる)かどうかがやっぱり重要だからです。
ここから面接で話す内容の具体的な構成について深堀していきます。
計画力とは仮説を立てること(PDCAのP)
まずは計画です。なにか物事をはじめるときにどうやって、何を判断して計画したかどうかを表現する必要があります。
サークルにしてもバイトにしても無計画にただサークルを頑張りました、バイトを頑張りましたと言われても、「そうですか」で終わってしまいます。計画する際には当然頑張る目的を見出してその目的達成までの目標を設定し、その目標を着実に達成するためにどう計画を立てたのかが重要になります。
時間的に問題がないか?、予算的に問題がないか?、人員に問題はないか?、モチベーションに問題はないか?、とそのときどきに必要な視点をもって計画することが必要です。
ちなみにカンダは理工学系なので文系のようなガチガチのサークルや自活できるレベルまでのバイトはそもそも不可能でした。
そのため、就職活動では勉学/研究×サークル×アルバイト×趣味の複合技で全体目的を決め、目標を設定し、それを達成したというアプローチを取りました。このアプローチは一つ一つの内容に乏しい理工学系には非常におすすめです。ただし、やはりどれも継続したことや勉学・研究ではそれなりの成績・成果を取っていることは必要になります。
行動力とは自ら動き出せるかどうか、人を動かすことができるかどうか(PDCAのD)
続いて行動力です。これは言わずもがないかにして自分の目標に対して行動したかを示す指標です。自らの意思でどれだけ行動できたかどうかが重要になります。同時に、人をどれだけ動かしたかというのも指標になります。
よく言われるように学生の試験とは異なり、一企業の業務には案外明確なゴールがなかったりします。もちろん企業の目標は利益を生むことなのでそれ自体には疑う余地はありませんが、個々の細かい業務はすべてが白黒はっきりするわけではなく、灰色決着もざらにあります。(研究もそうですが)
そのため、前節で計画したことに対して自分がどういう行動を能動的に取ったのか、またその計画を達成するにあたって人をどれだけ動かしたかの提示が求められるのです。
修正力とは行動した結果を省みて、計画・行動を軌道修正する力(PDCAのCとA)
これもそのままですが、修正力はある段階で計画・行動してきた結果を振り返って確認し、ダメだったところ、もっと良くなりそうなところを洗い出し、軌道修正する力になります。
カンダの中ではPDCAのCとAは一体としてみなしています。修正・改善案(C)を実行する(A)のは一体として捉えておいたほうがより実用的だからです。
なぜか?これは修正・改善案は確かにまずはフラットな状態でPとDを省みる必要がありますが、実際には色々な制約のなかでしか実行(A)できないからです。そもそも0ベースで考えることも重要だったりしますが、非現実的な修正・改善案を出したところで時間は浪費されていきます。これが時間も予算も限られる学生だった場合尚更です。
ただし、企業の場合は時に本当に0ベースで修正・改善案を出す必要性に駆られることがあります。例えば本当に倒産が見えてきた場合や上層部の不祥事が明るみになった際などは、いままでの妥協的な修正・改善案を出しても無意味だからです。
話がそれましたが、学生に求めるのは、自分が計画・行動したことを省みたかどうかということ自体が出来ているかどうかだけでも差がでます。中にはとにかく頑張りましたでゴリ押しする人もいますが、それなりの企業を目指すのであれば得策ではないでしょう。
完結力・完了する力(PDCAサイクル自体)
最後は完結力・完了する力についてです。これはカンダが個人的に使用している言葉で恐縮ですが完結力、つまりは完了する力(完了させる力・区切る力)について記載します。
計画し、行動し、修正・改善しながら進んでいても目的が達成されなければ意味が薄れてしまいますが、決して無になるわけではありません。最終的に目的が達成されれば最高ですが、次につながるのであればされなくたっていいんです。
でも、このPDCAサイクルを回しながら進んでいった結果、“最終的な状態としてそれを自分なりにどう評価し、どう完結させたかが重要”なんです。
世の中には常に勉強もスポーツも一番だったり、何させてもそつなくこなせる人もいますが、大半のボリューム層はそうではありません。つまりは、大概の学生はさして何かを成し遂げてなんかいません。
そんな中で自分なりに計画・行動・修正しながら取り組んだことがどう終了、自分でどう完結させたかを第三者的に評価することこそが重要なのです。某有名漫画作家のように風呂敷を広げるのは得意だけど、畳むのが苦手というのは一企業からすると最悪です。
100点はとれなかったけど自分なりに十分納得できた結果を得ることができたのであればそれでいいんです。それを次にどう活かすかが重要なのです。
これは一企業のイメージは一発勝負のトーナメントで戦う高校球児ではなく、年間を通して決着をつけるペナントで戦うプロ野球選手のイメージだからです。
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まとめ
・計画力・行動力・修正力・完結力 (PDCA)を磨き、実行することが重要
・成し遂げた成果だけが重要ではなく、次につながるように完結できたかどうかも重要
余談
【全体最適化の考え:ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か – 2001/5/18エリヤフ・ゴールドラット (著), 三本木 亮 (翻訳)】
これはカンダが学生の頃に読んで非常に勉強になった全体最適化について書かれた書籍です。もうだいぶ昔に読んだのでエッセンスしか記憶にないのですが、ある企業の生産ラインの生産性を改善する話がストーリーで書かれたもので、その中で部分最適の集合体が必ずしも全体最適とはならないことを証明し、全体最適化の理論と方法が書かれていたと記憶しています。
要約すると“物事は多くのものの連続した集合体であり、全体の生産性を改善するためにはBottle Neck(生産性を決定づける要因)を特定し、その要因を改善をすることでしか改善できない”と結論づけたものです。
つまりはある連続した集合体の部分部分をそれぞれ最適にしていったところで、全体の成果を決めるのは特定のある一部分でしかなく、それ以外を改善しても全体の成果につながらないどころか大量の損失につながるということです。
つまりは、ある生産ラインでA⇒B⇒C⇒D⇒Eという手順で生産するとして、時間当たりのAの能力が50、Bの能力が70、Cの能力が60、Dの能力が40、Eの能力が80だったとするとすべてはDの能力に依存するということです。では今度Dの能力を40から60に増強してみると、次はAの能力が支配的になるということです。
もっというと、そもそもその生産ラインの個々の能力の特定がまず第一歩となります。これを特定をせずに生産性を向上するために一律すべての手順を20増強したところで、結局Dに依存したままになり、確かに全体としての生産性は20向上するが、D以外のA、B、C、Eにかけてコストはすべて無駄になるということです。
この考えは普段の業務でもとても有効的な理論・方法であるため、カンダも部下や後輩の仕事が滞っているときは必ずBottle Neckがなにかを特定させます。まずはそこを取り除く、改善することに注力するのが重要になるためです。
参考になれば幸いです。皆様が小金持ちになることを祈って。
カンダ
[Part-3]