今回は「社会人になったら何にお金をかけるか決める」というテーマを記事にしています。
私は投資歴が約2年、コロナショックも直撃した30代の建設系のエンジニアで、すでに複数回の海外駐在を経て30歳前に資産1000万円に到達し、その後の長期的な海外駐在を経て資産を形成しました。
いま現在は3000万円超の金融資産を所持し、約2500万円を運用している個人長期投資家です。
どうも建設系エンジニア兼長期投資家のカンダです。
ここ最近、職場の近しい人や限られた友人のコミュニティにて、投資や資産運用について話すことが増えました。
そんな折、自分より若い人から助言を求められることが多いのですが、中にはなかなか投資を勧めにくい人もいます。
というのもすでに色々なものにお金をかけてしまっていたり、今後必要になるお金が確定してしまっていることが多く、いま投資を開始するのは少々リスクが高いと感じるためです。
その原因として本テーマである、「社会人になったら何にお金をかけるか決める」というような話を記事にまとめます。
是非、新社会人の方々に読んで参考にしてもらい、これから投資・資産運用を始める準備の一環として参考になれば幸いです。
社会人になったら何にお金をかけるか決める
無限にお金があれば特に気にする必要はないですが、現実はそうではありません。
一般的な大卒サラリーマンの生涯賃金は2億~3億円と言われている通り、普通に生活していると稼げる金額はほぼ固定されています。
そんな中で無尽蔵にやりたいこと、欲しいものに使うことはできません。
会社員になった時点で稼げる額はほぼほぼ固定される
上記の通り、一般的な大卒サラリーマンの生涯賃金は2億~3億円で、中央値はだいたい額面で2.7億円で手残りは2.2億円と言われています。
一部の商社、コンサル、金融機関、トップメーカーはこの1.5倍、2倍以上稼げますが、一般の会社員はだいたい稼げる金額はほぼ固定されています。
そのため、この労働で得られたお金をどう使うかによって豊かな生活が送れるか、それとも余裕のない生活を送るか将来破綻するかどうかが決まることになります。
もちろん業種によっての違いもあり、会社員といえども運(会社の業績、昇進・昇給、転勤、駐在)に左右されますが、サラリーマンになった時点で実質自分の決められるのは支出だけなのです。
私もサラリーマンしているのでよくわかりますが、案外この事実って普段の生活では意識しません。
日常生活がそのときそのとき満足できるかどうかが気になるくらいなものです。
なので、各々のライフスタイル・ライフステージの選択に応じて、その先の数十年の支出が決まってしまうのです。
こうなると収入だけでなく、支出も決まってしまうため、生活していく自由度は下がり、選択肢も限られていきます。
前提:将来の支出を大きく決めてしまう選択の具体例
早いもので私も約10年会社員をしていますが、色々な年代・立場の人と一緒に仕事をしたり、プライベートのコミュニティで関わりをもっています。
そのなかで見聞き知り得た結果、やはりこの支出を大きく決めてしまう3大要素は広く言われているものと同様、以下の3点です。
①住居費
②子供の教育費
③老後資金
これらは2021年現在から10年後も間違いないでしょう。
要するに、「多額の住宅ローンを組んで、子供の教育にお金をかけながら、老後資金を貯める」ことをしていたら、基本的に必要な将来の支出は確定してしまい、日々自由に使えるお金は限られるということです。
将来出ていくお金が確定している以上、考えなしに使うことは難しくなっていきます。むしろ考えなしに使っていくと破綻の一途を辿るということになります。
それでもまだ30歳前後であれば老後資金については多少は後回しにしてもいいかもしれませんが、とはいえ住居費・教育費は最悪低金利で住宅ローンや奨学金を利用すればどうにかできるので、老後資金は借金でカバーすることが難しいのでよく考える必要があります。
今の60代後半以上の人はバブル崩壊後のリストラをくぐり抜けられたならば、逃げ切りといえるのではないでしょうか。
一方で、それよりも下の世代はそうもいかず、まだ住宅ローンが残っている、まだ子供にお金がかかる、住宅ローンも返済して子供も独立したが、余剰資金は使い切ってしまい余裕がなく、60歳を超えても“必死に”働かないといけない、といった具合です。
つまり一般的な会社員家庭がすべてにお金をかけるのはほぼ不可能
前置きが長くなりましたが、上記の通り、将来の支出をほぼ決めてしまう「住居費」と「教育費」に全振りすると、余裕のある生活というのは難しくなっていきます。
よくある具体例で考えると、「結婚して独身のとき貯めたお金で結婚式を挙げ、子供が生まれ、一馬力で住宅ローンを組んで、二人目を望む」という流れになると実はすでに使えるお金が限定されるていきます。
これもまたよく使用される数字を利用して考えますと、子供1人につき成人するまでにかかるお金はざっくり3000万円とされています。
つまり2人生まれた時点で将来必要なお金は6000万円になる試算です。
これに住宅ローンを組んで、住居を購入した場合と照らし合わせて考えます。購入する住居は3ケース(3500万円、5000万円、6500万円)を仮に設定し、得られるお金は上記の2.2億円と設定してみます。
①22,000万円 – 3,500万円 – 3,000万円 x 2:残りは12,500万円
②22,000万円 – 5,000万円 – 3,000万円 x 2:残りは11,000万円
③22,000万円 – 6,500万円 – 3,000万円 x 2:残りは9,500万円
一目瞭然で、そもそも所得の限界が決まっている以上、使えばそれだけ手残りがなくなるということです。
ここにさらに夫婦2人の老後資金を考慮していきます。
正しいかどうかはさておき、目安として1人当たり2000万円が必要とすると、2人で合計4000万円必要になります。
①22,000万円 – 3,500万円 – 3,000万円 x 2 – 2,000万円 x 2:残りは8,500万円
②22,000万円 – 5,000万円 – 3,000万円 x 2 – 2,000万円 x 2:残りは7,000万円
③22,000万円 – 6,500万円 – 3,000万円 x 2 – 2,000万円 x 2:残りは5,500万円
やはり一気に自由に使える金額がかなり減っていくことが減り具合がよくわかります。
ちなみに上記の金額に夫婦二人の生活費は入っていません。考慮したのあくまで子供の分だけです。
よってさらにここから夫婦二人分の必須生活費(交際費・お小遣いは含めない)を引いていきます。
設定次第になってしまいますが、仮にそれなりに倹約もしてしたとしても、二人で月10万円(大人二人の食費、保険、光熱費、通信費、最低限の被服費・交通費)はかかると仮定し、30歳から60歳までの30年間を考えると、
①22,000万円 – 3,500万円 – 3,000万円 x 2 – 2,000万円 x 2 – 30 x 12 x 10万円:残りは4,900万円
②22,000万円 – 5,000万円 – 3,000万円 x 2 – 2,000万円 x 2 – 30 x 12 x 10万円:残りは3,400万円
③22,000万円 – 6,500万円 – 3,000万円 x 2 – 2,000万円 x 2 – 30 x 12 x 10万円:残りは1,900万円
やはり一気に金額が下がります。
とはいってもまだまだ余力があるように見えますが、ここには交際費やお小遣いは考慮していません。
つまり、帰省や家族旅行といった家族でのイベントはもちろん考慮しておらず、自分自身の結婚式や冠婚葬祭への出席についても考えていません。
当然ですが定期的に買い直しが必要になるような大物家電や住宅を持った場合は住居の修繕費、最近だと定期的に買い替えが必要なスマホといったものも考慮していません。
もしちょっとした病気にかかったり、歯の治療が重なったりした場合はさらにお金が必要になっていきます。
これで住宅ローン・教育費・老後資金に加えて生活費についてしましたが、最後にここから逆算して、では毎年どれくらいのお金が平均して手元に残るのかを30年間をベースに計算していきます。
①4,900万円 ÷ 30:163万円が1年間の手残り・月平均にすると約15万円。一人当たり7.5万円。
②3,400万円 ÷ 30:113万円が1年間の手残り。月平均にすると約10万円。一人当たり5万円。
②1,900万円 ÷ 30:63万円が1年間の手残り。月平均にすると約5万円。一人当たり2.5万円。
急激に苦しい状況がよくわかってきます。
もちろんすでに老後資金2000万円を二人分考慮し、最低限の貯蓄は出来ていることにはなりますが、上記の大物家電、修繕費、治療費も含めてここからお金を出すとなるとかなり苦しいことがわかりますし、決して余裕ある生活とは程遠いことがわかります。
つまりざっと計算しただけでも、以下の点がわかります。
・高額な住居を購入し、老後資金を確保しようとすると自由に使える金額はかなり限定される
・高額な住居を購入しながら自由にお金を使ってしまうと、老後資金は確保できない
ということになります。
注記:今回は計算を簡単にするため、住宅ローン○○万円という表現にしていますが、購入しなくとも住居には費用がかかりますので高額な住居を借りた場合と読んでいただけると幸いです。
注記:共働きや片方がパート・アルバイトをした場合は変わってきます。
何にお金をかけるか決める
以上の計算からもわかる通り、住宅費・教育費・老後資金を確保しながら自由に使えるお金は限定されます。
将来の破綻を防ぎつつ、生活を楽しむためには“何にお金をかけるか、予め決めておくことが重要”ということです。
私自身のことを例に挙げていきます。何を優先し、何をやめるのかを列挙します。
【優先的にお金をかけること】
・駅近かつ利便性の高い住居。表面的な家賃は高くなりはするが、余計な支出はなくなる。
・1年で最低1回の海外旅行
・年数回のゴルフ
【お金をかけることをやめたこと】
・これから継続的にやってはいかないであろうイベント事や趣味の付き合い
・そこまで親しくない人の結婚式やそれに準じた会食および会社都合の飲み会2次会以降
・高額な装飾品や衣服
それぞれざっと上位3つを挙げました。
優先的にお金をかけるものは自分の生活が直接的に豊かになる(駅近かつ利便性の高い住居)か、働いてお金を得ることの主目的(旅行・ゴルフ)に特化させます。
結局ここに特化しさえすれば、日常生活にストレスなく、かつ、一番自分にとって楽しいことがカバーされているので働くことへのモチベーションも維持できます。
そのためこれを決めるのが非常に重要で、大して自分の生活に取ってプラスにならないものは積極的にやめていきます。
もちろん若いうちは色々な場所や色々なことに一度は手を出し、経験したうえで決めていくことが大事ですし、後々後悔がありません。
一方、お金をかけることをやめたことは、自分にとって不要に感じるし、お金がかかることに特化しています。
私も20代の頃はかなり多くの飲み会、2次会から夜のお店にいくこともよくありましたが、30歳を前に行っても行かなくてもあまり意味がないことを感じ、基本的にはやめました。
結婚式関連も同様です。
若いうちはそれなりに楽しいですが、年を重ねて出席回数が増えるうちに、ぶっちゃけ誰かの結婚式の焼き直し感が否めないので、心から祝いたいと思える人以外については丁重に断ることにしています。
正直、こと結婚式関連については日本の今までの流れが良くないとは思っています。
カジュアルに5000円程度で楽しく新郎新婦と飲み食いするだけなら気になりませんが、土曜や日曜にわざわざスーツを着て、ほぼ1日中拘束されて3万円以上かけるのは、この時代にはそぐわないと言えます。
最後に高額な装飾品や衣服についてですが、これもそれ自体が趣味であり、働くモチベーションの1つならいいと思います。
ですが、ただの承認欲求的にいいものを持ちたいというのであれば30歳を前に意識的に卒業することをお勧めします。
かくいう私も若いうちはブランドの時計やカバン、靴を揃え、高いスーツを着て会社に行くこともありましたが、今はそれもありません。
一通り欲しいものがそろったというのもありますが、ものが家に増えていくにつれて本当に一部ありさえすればいいな、という気持ちになれました。
とある記事で「お金を使うのは飲み会と趣味のゴルフ・スノボと年1,2回の旅行しかないので投資を始めていきたい」という相談をしている人を見かけました。それぞれの頻度にもよりますが、独身かつ実家住まいが続くときだけに成り立つ条件であり、年齢が上がるについれ取捨選択を迫られるでしょう。
若く、これからの給与に期待できるときには一回数万円かかるゴルフやスノボ、朝まで楽しむ飲み会なんてのはたかがしれていると使っている当時は思うものですが、それが5年後、10年後にボディブローのように効いてくるのです。
私も幸いにも、ここ10年間前後は仕事もそれなりに順調に推移したのでいい生活を送ることができましたが、同じような生活がこれからも必ずしも続くとは限らないと意識して、できるだけ生活水準を上げずに生活しています。
余談ですが、会社員になって数年経って同世代と懐事情について話すと、結構驚くことがあります。
自らボディーブローを多く受けた人たちの結果とも言えますが。
・約10年働いたけど、200万円くらいしか預金がなくて自由がない。
・結婚する前に散財し過ぎて、結婚した今、長期休みがあっても何もできない。
・住宅ローンと子供の教育費で残業代が減ると毎月のキャッシュフローがマイナスになりそう。
・共働きを辞めたら日々のおかずが唐揚げ一個になる。
・二人目が生まれたら本当にお小遣いがなくなる。
などなど。
これらは本当に一般的な真面目な大卒サラリーマンに容易に起こりうる事態です。
こういった事態を避けるためにも、是非若い社会人には一通りの経験をしつつも、自分が一体何にお金をかけるのかを取捨選択していって欲しいです。
まとめ:社会人になったら何にお金をかけるか決める
・高額な住居を購入し、老後資金を確保しようとすると自由に使える金額はかなり限定される
・高額な住居を購入しながら自由にお金を使ってしまうと、老後資金は確保できない
・よって、何にお金をかけるか、予め決めておけばこういった事態は避けられる
参考になれば幸いです。皆様が小金持ちになることを祈って。
カンダ
【投資はあくまで自己責任で】